2015年6月
2015年6月21日(日)13:30開場 14:00開演
さがゆき(vo/gt)喜多直毅(vln)
会場:喫茶茶会記(四谷三丁目)
160-0015東京都新宿区大京町2-4-1F
03-3351-7904
料金:予約3,000円 当日3,500円(ワンドリンク付き)
ご予約・お問い合わせ:
03-3351-7904
いつも最高に楽しいさがゆきさんとのライヴ。
今回は今までと路線を少々変えて日本語の歌を中心に…。
情緒たっぷりに演奏してみたいと思います。
6月27日(土)20:00開場 20:30開演
喜多直毅&黒田京子デュオ
出演:喜多直毅(violin)黒田京子(piano)
会場:KID AILACK ART HALL 3F Gallery(明大前)
〒156-0043 東京都世田谷区松原2丁目43-11
03-3322-5564
料金:予約¥3,000 当日¥3,300
ご予約・お問い合わせ:
電話 03-3322-5564 メール arthall@kidailack.co.jp
明大前のスペース・KID AILACK ART HALL。
こちらの3Fギャラリーにアップライトピアノが入りました!
とても響きの良い空間なので、以前から黒田さんと演奏してみたいと思っていたのです。
やっと実現!
響きが変わるとホント演奏が変わります。
まずテンポがゆっくりになる。
余りの響きの良さについつい気持ち良くなって、長い音を弾いては余韻を楽しみたくなるのです。
そして選曲も響きを活かしたものになるに違いありません。
ヴァイオリンは共鳴胴が小さいために、部屋の響きに依存するところがとても大きいのです。
部屋が共鳴胴だと言って良いくらい。
普段より楽に弾けそうです!
どうぞお楽しみに!
2015年6月30日(火)19:30開場 20:00開演
挟み撃ち!vol.5 with 久田舜一郎(小鼓・声)
KID AILACK ART HALL(明大前)
出演:齋藤徹(コントラバス)喜多直毅(ヴァイオリン)
久田舜一郎(小鼓・声)
会場:KID AILACK ART HALL(明大前)
〒156-0043 東京都世田谷区松原2丁目43-11
03-3322-5564
料金:予約¥3,000 当日¥3,500
ご予約・お問い合わせ:
電話 03-3322-5564
メール arthall@kidailack.co.jp
公演に寄せて(齋藤徹):
挟み撃ち!などと恥ずかしくなるようなキャッチーなタイトルを付けて始まったシリーズは加速度を得て進んできました。嬉しいことです。
ザビエ・シャルル→タツヤ・ナカタニ→ロジャー・ターナー→今井和雄→ウテフェルカー、ヴォルフガングズーフナー、ジャンサスポータスと続いて、久田舜一郎(小鼓)が6月30日キッドアイラックアートホールで決定しました。(エアジンでの黒田京子さんも形式的には挟み撃ちでした)
久田舜一郎さんは、まさに真打ち登場という感じです。
ヨーロッパのインプロバイザーならば共有している情報・感覚が多いので、安心して「インプロ」を思い存分追求できます。「インプロ」特有の音色・音質・傾向というものは漠然とですが、有るのです。一方、伝統に対してはそうは問屋が卸さない。自分の立ち位置を根こそぎ吹き飛ばされることも覚悟しなければなりません。「何をやっておるのだ、チャカチャカチョコチョコうるさいなぁ。天井裏をねずみが駆けだしているようだ。楽器を普通に弾かないの?それにしても音数が多すぎないかい?」などと笑われているようにも感じます。
インプロビゼーションはジャズやフラメンコ、シャンソンのように「外来文化」だった?
日本にもアジアにもインプロの図太い伝統があります。自分の身体や心や思考の中にそれがしっかり根付いているのか、そもそも有るのかが試されるのです。私の周辺では、沢井一恵さんと久田舜一郎が、私との演奏を歓んでやってくれています。ありがたいことです。(両者ともミッシェル・ドネダを好んでいる所も何か共通点がありそうです。)
久田舜一郎さんと出会いは阪神淡路大震災のチャリティーコンサート(@神戸ジーベックホール)でした。フロントに能管と小鼓、バックに4~5人のベーシスト(バール・フィリップス、吉沢元治、私、もう一人二人の日本人以外のベーシスト)でした。能管と鼓と掛け声に対して、居並ぶベーシストが会話のように音を出していました。(吉沢氏は演奏が始まっても配線が終わらずにいたような記憶があります。)その反応は「違うよ!」と私は直感しました。「ここは会話では無く、待つところ」と思ったのです。結局私は最後までほとんど音を出すことが出来ずに終わりました。
人生で何回かしかありませんが、その時、何か凄いことが私の人生で起こっていると感じました。矢も盾もたまらず、久田舜一郎氏のところへ行って、翌日倒壊しているビルの中でソロがあることを聞き出しました。もちろん何があってもそこへ行きました。デュオをやらせてもらいました。「もの狂い」の世界を体験、私の爪は割れ、血が飛び散りました。
彼を、あるいは彼を成り立たせているものを、私の師匠とするしか有りません。能のことにほとんど無知だった私は「能は、哲学や美意識が深いものがあるのでしょう?」と聞くと「いやいや、私は単に『型』をやっているだけです」というなんともカッチョイイ答え。
まず、私が関わっていた東京の演劇にお招きしました。早稲田小劇場・天井桟敷出身の身体訓練・発声訓練を十分に修行して、幾多の経験を持つ猛者たちでしたが、久田舜一郎氏が声をだすと、全員が「吹っ飛んで」行きました。啞然としました。舞台上でのまさに王様でした。
次はヨーロッパツアーに同行願いました。ミッシェル・ドネダとの長いデュオツアーの途中に久田舜一郎氏とのトリオを組んだのです。各地で大絶賛されました。特にナンシーでのミュージックアクションフェスティバルでは、フェスのピークを作り出したと新聞に載りました。パリのイルカム(ピエール・ブーレーズ主宰の現代音楽集団)からのプレイヤー、ブルキナファソの自分の部落から一歩も出たことの無かった人達、さまざまなインプロバイザーとのセッションで久田舜一郎氏の声と鼓が場を制しました。月に向かって吠えた一声でその場のすべての集中と尊敬を勝ち得てしまいました。これにも啞然。あたかもシャーマニズムの儀式を見るようでした。
その後、何度もセッションをしたり、ヨーロッパ再訪もありました。ラッキーなことです。その中で一番印象深かったのは「道成寺」を観た時でした。シテ方との「乱調子」のインプロの凄まじかったこと!シテ方から一瞬たりとも気をそらせたくないためでしょう、二人の助手をつけて(一人は小鼓の皮を息で湿らす係、一人は椅子を押さえ久田氏が転けないようにする係)もの凄いインプロをしていました。
平日の昼間の国立能楽堂、聴衆はお年寄りと外国人観光客ばかりのところでこんなスゴイインプロが普通に行われていることにもビックリ仰天でした。
昨年、セバスチャン・グラムスとのツアー中、東京ドイツ文化センターで沢井一恵・久田舜一郎両氏をお招きしたセッションを行いました。その時、喜多直毅さんもゲストで呼んでいました。久田舜一郎氏は直毅さんのことを気に入ったとのこと。嬉しいじゃ有りませんか。次の機会を狙っていました。
そんなこんなでの挟み撃ち!セッションです。これで挟み撃ち!第一期は終わるのでしょう。果たして何を残して、何を繋げて終わることが出来るのか?
けたはずれの集中力をつかう久田舜一郎氏は心臓の手術を何回もしています。本番前には頭から冷水を浴び気を引き締めます。パリで痛風の発作を起こしたときは、マルセル・マルソーがつきっきりの看病をしてくれたと言います。普段はお茶目な方ですが、能に関しての知識・愛情はまさに第一級です。
能の修行は壮絶で、子供の頃から毎日殴られるように何年も修行を重ねるそうです。そして、修行が終わった時には、何処の舞台に出ても大丈夫ということ。我々がよく使う「プロ・アマ」とかいう範疇では捉えきれません。
よく「打ち合わせ」という言葉を使いますが、能から来ているそうです。能の本番には、リハーサルなどというものは無いわけで、どの流派から来たとしても、ちょっとだけ鼓を「打ち」、各人の音の様子を見る・聴くだけだそうです。それが本来の「打ち合わせ」。
日本はそんな伝統を持っているのです。私にしても直毅さんにしても、直接的には、外来文化からインプロビゼーションを学び、生き方として演奏し始めました。そんな2人が久田舜一郎さんを「挟み撃つ」ことなど出来ようがありません。歓んで玉砕しようではありませんか。しかし、ただでは死にませぬ。繋がるべき芽を見極めることだけは(イノチガケで)やるつもりです。